愛林館田援計画(でんえんプロジェクト)
第2回 グリーンセミナー 「森のがっこう」     

2003年8月9日(土)〜8月10日(日)


ご報告


前回は、田植え直後の美しい棚田を見て棚田保全策を考える「棚田のがっこう」でしたが、今回は暑い盛りに森林の作業を軽く体験して森林の活用策を考えました。ゲスト講師は、地元の林業家吉井和久氏です。

今回も関東からの参加者があって、主催者としては大変感激です。

さて、参加者が集まり、自己紹介の後、まずは燻製つくりの準備作業。寒川水源の養魚場から買ってきた、30cmをはるかに越えるような巨大なニジマスの腹を割き、塩をしました。それから、吉井さんの山へ出発。

吉井さんの山の一角で、炭に火を起こし、ドラム間の底に置いた桜の枯れ枝に乗せました。そして針金でニジマスとにわとり(2日間調味液に漬けたもの)を吊るして、板でふたをしていぶしました。ロースト+燻製です。

燻製の番は溝口さん(次回炭のがっこうの講師)にお任せし、参加者は下草刈りの作業をしました。昨年植えたばかりの、小さい杉の林です。面積は10a程度。杉の苗が小さく、鎌でちょっと触っただけで切れてしまいますから、「苗を1本切ったら指を1本切ってもらう」と警告して、慎重な作業をしてもらいました。

15人で1時間かかってちょうど草刈りは終わり。作業前と後で景色が全然違って見えること、草に埋まっていた杉に日が当たって喜んでいることなどが実感できたことと思います。間伐は、ちょっと時間がなくなったので今回は体験をする時間はありませんでした。

吉井さんから説明を聞く 下草刈り

さて、作業を終えて燻製はどうなったかと思い、ふたを開けてみると、ニジマスは頭だけが針金に下がっていて、胴体は炭の上に転落して焼き魚になっていました。落ちてさほど時間が経っていなかったため、あまり焦げていなかったので、どうにかドラム缶の底から救出はできました。鶏はうまそうな色に仕上がっています。

その後は、希望者が川で泳ぎ、涼みました。愛林館からすぐそばで、私も立てないような深い渕があって、川の崖のうえからは湧き水が流れ落ちるというすばらしい場所があるのです。先日も地元の小学6年生を連れてきたばかりでしたが、この日は先日の台風の雨の影響で、水量がちょっと増えていました。

夕食は寒川水源亭でそうめん流し。行く途中は日本一(自称)の棚田です。夕日の中の棚田もきれいでした。そうめん流しのテーブルを初めて見たという参加者も何人かいて、楽しい夕食でした。愛林館に戻って、燻製をつつきながら焼酎とビールで宴会の続き。鶏はちょっと生焼けだったのが残念。ニジマスはおいしく焼けていましたが、巨大なのが7匹というのは多すぎました。

近くの川へ泳ぎに 寒川そうめん流しで夕食
        
翌日は、最初に吉井さん(林業家)の講義。現在の材価と人件費で、40年生の杉林1haを伐採して再造林すればどうなるのか、という表には、参加者一同びっくり。伐採の売上の手取り(その木が大きくなるまでにかけた手間賃は計算せず)が100万円、造林の出費は230万円ですから、普通の経済感覚の持ち主では再造林などするわけがありません。それでも、伐採跡に再造林をする人がいるのはお金の差を倫理感で埋めているからです。

現状の、1000万haの人工林(森林の40%)は、放置しては環境を悪化させます。適切な手入れが必要なのですが、その手入れをする費用が、従来のように市場経済の中からは生み出せなくなっています。こういったことが、現実に林業を行う吉井さんから説明がありました。

次に、沢畑が吉井さんの話を補う講義をしました。森林が環境を良くする働きは多々ありますが、それに対してお金が支払われていないという現実が問題だと私は以前から思っていました。昨年度から、ようやく1ha当たり1万円というお金が払われるようになり、愛林館では17万円を受け取っています。でも、森林を育てるにはもっともっとお金がかかり、ちょっと不足です。もう少し、森林の環境機能に目を向けてほしいのです。

最後に「私の森林保全策」を皆で考えてみました。カードにどんどん思い付きを書いてもらうのですが、森林業界人は発想が固定化していますから、業界人以外の考えが面白いのです。

その中で私が面白かったのは、森林や木に名前を付けて距離感を縮めようというものです。お金もかかりませんし、すぐに取りかかれます。照葉樹林の自然林に大学山という名前がある(大学の先生がよく調査に来ていたから)のですが、その中にも何本か大きい木がありますので、その木に命名するのも悪くはありません。また、愛林館で「水源の森づくり」という造林をしていますが、もう少し愛嬌のある名前を付けようと思いました。

また、木造で象徴的な大きな米倉を建設し、そこに籾を備蓄しておくというのもちょっとお金があればやってみたいことです。

ボランティア活動に参加した人の実績に応じて級のようなものを発行し、全国のボランティア受け入れ団体同士でそれを確認できれば便利というのもありました。

手垢のついた言葉ではありますが、癒しの場としてもっと森林を使うのもいいと思いました。私としては、少なくとも、森の中でハンモックを吊って昼寝をすぐにできるような態勢くらいは整えておこうと思いました。今回は月が明るかったので諦めましたが、闇に包まれた森に出かけて、落ち葉や枯れ枝がぼんやりと光るのを見るのもとっても気持ちのいいものです。

森林業界人としては、取り組むべき課題はほぼ見えてはいるのですが、ちょっと違うスパイスとともに考えるという機会は非常に新鮮で、大変勉強になりました。

次回は、9月20−21日に「炭のがっこう」です。簡単にできるレンガの窯で炭を焼き、その使い方や環境への働きなどを考えましょう。ゲスト講師は溝口秀士氏(炭焼き師)、加茂千里氏(環境教育者)です。燻製にも再度挑戦します。棚田の彼岸花も見ごろです。

第4回は1/10−11に「マイナスをプラスに」ということで、吉井正澄氏(林業家・前水俣市長)のお話を伺います。食事は、豆腐、こんにゃく、うどんを自分で作って合鴨鍋です。




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