◆Kさん・Mさん(熊本市)より

 写真に観る棚田の魅力にまんまと惹かれて参加した今回の「久木野棚田ワークショップ」は、とても有意義でした。
 先ず、重たい石を積むのですから、当然ながらキツイ。 しかし、地元の指導者・中村さんら全員が70歳を超えた長男さん達で、農業・林業・棚田保全をしている人達。 この3人の指導者が「休むこと無くバールやハンマーを使って大きな石を運び、転がし、作業が進められていくのです。 高齢者とは思えない!! 私共の体力が余りにも無いので恥じる思いで、自分に鞭打って作業を手伝った事が想い出として残っております。

 3日間のワークショップの間に、溝口秀士さんによる炭焼きも体験。この炭焼き、ちょっとしたスペースとオイル缶があればOK。これには、びっくり!! 何度も感激 ………。帰宅後は早速、沢畑さんの館長日記をプリントアウト、友人達に自慢する。炭焼き体験修了書を貰ったことを自慢した為、近いうちに炭焼きを 教える事になったが、果たして上手くいくのだろうか……?!ちょっと不安だ。失敗の折りは、溝口さんにお助けマンを依頼するかもしれません。

 それに食いしん坊の私としては、吉井さんのお母様とお嫁さんが共同で、 久木野で採れる蕎麦や大豆、紫から芋など、素材の持ち味を生かした手作りの3時のおやつは楽しみでした。御馳走さまでした。

 このワークショップは「石積み・炭焼き・素材の持ち味を生かす」と、初体験の中から思いかえせば「農村のかかえる問題・循環型自然社会の必要性・食生活あり方」等々様々な問題を考えさせられる良い機会でありました。


 ◆Sさん(神戸市)より

 私は2月24日(土曜日)と2月25日(日曜日)の石垣積みに参加しました。神戸からは一日で来れませんので佐賀市に一泊しました。近くの大和町の河上神社の名物、白玉餅はおいしかったです。23日は海岸沿いに南下し人吉市から大口市を回って久木野に着きました。
 沢畑さんに誘っていただいて水俣市のもやい会館で船瀬先生の講演を拝聴しました。皆さんの交流が自然で、二次会も楽しかったです。ここまでは番外編でした。

 翌朝には前日の雨は止んでいましたが、肌寒く、風も強く時々は小雨もありました。鳥の声が瑞々しく感じられました。吉井さんに地区の案内をしていただきました。焼き畑を主にされていたとのことでしたが、古くから人の営みが感じられる歴史のある地域です。溝にはヤマアカガエルの卵がありました。兵庫県では圃場整備のために側溝が深いU字溝にかわり、このような風景が無くなりました。  このヤマアカガエルはカスミサンショウウオと同様に氷河期の生き残りと云われており、寒冷なこの時期に卵を産み、また、冬眠に戻ります。このオタマジャクシは田植え前に蛙になり山に戻ります。それから、南方系のトノサマガエルやダルマガエルが産卵を始めます。このように、住み分けているようです。

 テントを組む人と石垣組みの手伝いをする人に分かれました。石垣の前は足下がぬかるんでおり、作業がはかどりません。また、物事は何事も土台が肝心と言うことで慎重に基礎の小さめの石を置き、その上に大きな石を置く作業が続きました。これにも時間が掛けられました。

 70歳以上の方たちが軽々と石を運ばれるのには関心いたしました。バールやケレンで上手に石の位置決めをされています。石工ハンマーで石を自分の考える形に加工されていました。石を組んだ様子が組む前に見えているのです。両口ハンマーで大きな石を細かくする作業もされています。石のどこを叩けば割れるかが見えるのです。石を重い方を前にして長手方向に置き、奥の部分が上に跳ねないように安定させるために後ろの部分の下側に砕いた石を置いていくのです。さらに大きな石の後ろには、砕いた石を置いていきます。上からの加重がうまく分散するような工夫でしょう。石垣の面は中間部を少し、へっこませています。これも上からの力を石垣の前方向へ大きく変換させない工夫だと思います。

 私は阪神大震災で崩れた明石城の石垣を見ましたが、真ん中がせり出していました。また、台風のさなかに阿蘇から国見峠を越えた時には、崖の中間から水が吹き出していました。後でそこは崩れました。中間の部分をどう持たせるかが工夫のいる所だと思います。昼にはカレーをいただき、作業は16時過ぎに終了しました。食事の材料を買い出しにいきました。夜はしし鍋と焼酎でした。共同で作業をすると話もはずみます。

 日曜日は天気も良く、参加者も多かったので石垣は見る見るうちに組みあがっていきます。御老人達の言葉も少しは聞き取れるようになりました。私は14時頃に帰路につきました。布計越えで球磨村から人吉市に入り九州道にのりました。



 ◆Iさん(北九州市)

 私は、生涯学習を推進するボランティアをしていて、いろいろな、プログラムを組んだり、体験したりしましたが、今回のような、すごいプログラムは初体験でした。現在あるのは、「田植え体験」 「稲刈り体験」そして、その刈り取った藁で作る「しめ縄作り教室」くらいです。

 農業に親しみを持ち、食文化を真剣に考えることのできる、楽しいプログラムを考えられるよう、今回の体験を活かしたいと思いました。

 私にとっては、いろいろな意味で、大きな体験でした。あの石垣が、完成したというご報告は、嬉しい限りです。生まれて初めて、約280キロメートルを一日で運転しました。「遠いなあ」という印象でした。でも、あの石垣を見に、「また、行こう」と、今は思っています。

      

報告書表紙



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